「健康食品の記事・広告制作で薬機法(薬事法)に対応したいが何をしていいかわからない」
と困っていませんか?健康食品とは、人々の健康保持増進に役立つ食品を指します。
薬機法(薬事法)は健康食品に関する規定はないものの、「無視して広告が作れる」というわけではありません。
そこで本記事では、薬機法(薬事法)における健康食品の取り扱いについて解説していきます。
記事よりも動画内ではさらに詳しく解説していますので、動画もご覧ください。
もくじ
薬機法(薬事法)における健康食品の取り扱いとは
健康食品の扱いはあくまでも食品です。
そのため、医薬品・医薬部外品・化粧品でしか言えない効能効果を謳い、広告・表示・販売してしまった場合は薬機法(薬事法)違反になります。
健康食品で薬機法(薬事法)を守る場合は次の3つのポイントを意識しましょう。
- 効能効果(睡眠の質改善)
- 病名・症状(関節痛)
- 特定部位(腕・肝臓)
健康食品の仲間?保健機能食品とは
健康食品は「健康食品」と「保健機能食品」の2種類に分けられます。
このうち、薬機法(薬事法)と関わりがあるのが「保健機能食品」です。
保健機能食品は、3つのカテゴリーに分けられます。
- 栄養機能食品
- 特定保健用食品
- 機能性表示食品
それぞれ解説していきます。
栄養機能食品
栄養機能食品は、ライフスタイルの変化などにより必要な栄養成分が不足しがちな場合、補給・補完のために利用できる食品を指します。
特徴は以下の通りです。
- 消費者庁への許可や国の審査が必要ない
- 国の基準に従っていれば、決められた範囲内で効能が表示できる
- 栄耀機能食品としての成分が限定されている(食品表示法 別表第十一参照)
特定保健用食品
薬機法(薬事法)における特定保健用食品とは「糖の吸収を穏やかにする」などの表現ができる食品です。
医薬品でないにも関わらず、決められた範囲であれば効能効果がうたえます。
ただし、科学的根拠に基づいたうえで国の審査を受け、消費者庁長官の許可がなければなりません。
特徴は以下の通りです。
- 届出と承認が必須
- 手続きに時間、費用がかかる
- 国による、身体への効果や安全性の審査が必須
- 消費者庁許可のマークと「特定保健用食品」と表示されている
- 半健康人が対象(病気ではないが、病気に一歩踏み出した人のみ)
許可表現は以下が代表的なものになります。
- おなかの調子を整える食品
- 血圧が高めの方に適する食品
- コレステロールが高めの方に適する食品
- 血糖値が気になる方に適する食品
- ミネラルの吸収を助ける食品
- 食後の血中の中性脂肪を抑える食品
- 虫歯の原因になりにくい食品
- 歯の健康維持に役立つ食品
- 体脂肪がつきにくい食品
- 骨の健康が気になる方に適する食品
参考資料:内閣府|特定保健用食品の許可表示例
後述の機能性表示食品と似ていますが、書ける内容に違いがあるため注意が必要です。
機能性表示食品
機能性表示食品とは「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、
健康の維持及び増進に役立つという食品の機能性(効果)を商品パッケージに表示できる食品を指します。
以下、機能性表示食品の特徴です。
- 国の審査はいらない
- 科学的根拠(エビデンス)が必要
- パッケージに「機能性表示食品」と表示している
- 国が定めた範囲であれば機能性や効果を表示できる(ただし、表現できる成分が限定されている)
機能性表示食品では、以下の効果表現が禁止されています。
①病気の予防、診断
例「糖尿病の疑いがあるあなたへ」など
可能な表現としては「血糖値が気になるあなたへ」といった表現しかできません。
②身体の改造的表現
例「太ももがスリムになります」など
可能な表現としては「スキニーが似合うようになりました」といった表現です。
また、機能性表示食品の場合、届出の方法によっては「○○(商品名)には△△の効果があります」とは書けず、「□□(機能性関与成分)には△△の効果があることが報告されています」などと書く必要があります。
どちらの方法で書くことができるかは商品によって異なるので注意が必要です。
健康食品が配慮するべきルール
健康食品の広告やパッケージなどの表示に関しては、以下の法令に抵触していないか確認する必要があります。
- 薬機法(薬事法):医薬品的な効能効果でないか
- 特定商取引法:虚偽、誇大な表現でないか
- 景品表示法:優良誤認、有利誤認といった不当表示でないか
- 食品衛生法:名称、添加物、保存方法、製造元などが表示されているか
- JAS法:名称や原材料名、賞味期限(消費期限)などが表示されているか
- 健康増進法:栄養成分、熱量などが表示され、かつ偽装、誇大表示されていないか
広告に限定した場合必ずしもすべてが該当するわけではありませんが、商品パッケージを入稿する際は入念な確認が必要です。
4つの判断基準
薬機法(薬事法)における4つの判断基準は、厚生労働省が昭和46年に通知した「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の「医薬品の範囲に関する基準」の中で定められています。
通称「46(よんろく)通知」と呼ばれているルールです。
参考:厚生省:無承認無許可医薬品の指導取締りについて )
<4つの判断基準>
以下の4つを総合的に判断し「医薬品」か「食品」かを区別します。
- 成分本質:医薬品でしか使えない成分を指定しているか
- 効能効果:身体の変化を表現しているか
- 形 状:医薬品と思わしき形状であるか
- 用法用量:決まった用法用量が明示されているか
いずれかに該当する場合、医薬品とみなされる点には注意が必要です。
健康食品で薬機法(薬事法)違反になるとどうなるのか
健康食品が薬機法(薬事法)に違反した場合、「行政指導」と「刑事摘発」が行われます。
行政指導
行政指導とは、行政が行う是正措置のことです。
仮に指導を受けた場合は、報告書の提出に応じなければなりません。
2021年8月からは課徴金制度も加わります。
刑事摘発
刑事摘発は罰則のことです。
健康食品が医薬品と誤解されるような表現をすると「無承認無許可医薬品」となります。
そして、薬機法(薬事法)違反となった場合には、以下のような罰則が科せられる点を把握しておきましょう。
・[無承認無許可医薬品として販売した場合]
3年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこの両方
・[無承認無許可医薬品として広告を出した場合]
2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこの両方
(薬事法24条、68条、84条、85条)
違反摘発のキッカケ
摘発されるキッカケは、同業者の告発による行政指導や刑事摘発が多くなっています。
また、行政のパトロールで薬機法(薬事法)違反を見つけたケースもある点は把握しておきましょう。
行政のパトロールでは、テレビやインターネットを定期的にチェックするだけでなく、試買調査(サンプリングを購入しパッケージを確認する)と呼ばれるやり方も行ってます。
薬機法(薬事法)における健康食品と明らか食品
明らか食品とは、誰が見ても「これは食品だ」と認められるものです。
医薬品的な効能効果をうたっても、「薬や医薬品と誤認されず、食品であることが分かる」ため機法違反にはなりません。(疾病名や誇大広告はNG)
具体的には、以下のとおりです。
①野菜、果物、卵、食肉、海藻、魚介等の生鮮食料品及びその乾燥品
(ただし、乾燥品のうち医薬品として使用される物を除く)
②加工食品
(例)豆腐、納豆、味噌、ヨーグルト、牛乳、チーズ、バター、パン、うどん、そば、緑茶、紅茶、ジャスミン茶、インスタントコーヒー、ハム、かまぼこ、コンニャク、清酒、
ビール、まんじゅう、ケーキ、等
③ ①、②の調理品(惣菜、漬物、缶詰、冷凍食品 等)
④調味料
(例) 醤油、ソース 等
明らか食品と認められないもの
食品であるにも関わらず、明らか食品だと認められない場合もあります。
行政では、以下の条件に当てはまった場合、明らか食品と認められない点に注意が必要です。
- 有効成分が添加されているもの
- 一般性がないもの
- 主目的が食べることではないもの
たとえば「やせるグミ」や「花粉アレルギーのための飴」といった具合に、身体に影響を与えるような成分を添加した場合は、明らか食品とは認められません。
まとめ
本記事では、健康食品と薬機法(薬事法)の関係性について解説してきました。健康食品自体は、薬機法(薬事法)の対象ではありません。
しかし、決められた範囲を超えた場合や必要な審査を受けずに承認が得られないものを表示・販売すること場合は定職してしまいます。
そのため、広告で扱う言葉、パッケージで表示する言葉には十分注意しましょう。
健康食品を扱う際は、さまざまな視点から関係法令に抵触していないかを確認することが大切なポイントです。