薬機法( 薬事法 )が適用される広告の3要件とは?違反するとどうなる?

2021年8月に課徴金制度が導入されることから、薬機法(薬事法)への関心が徐々に高まりつつあります。

しかし、「薬機法(薬事法)が適用される範囲」定める医薬品・化粧品について、よく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、「医薬品・化粧品の定義」と「対象となる広告の3要件」について解説していきます。

この広告の要件は、薬機法を考える上で絶対に必要な知識なので、まだ知らない方はぜひ最後まで確認することをおすすめします。

【広告を学ぶ前に】薬機法(薬事法)における医薬品・化粧品の定義

そもそも薬機法(薬事法)の目的は、以下の5つの品質・有効性及び安全性の確保です。

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 医療機器
  • 再生医療等製品

すべての人々が安心して医薬品や化粧品が使用できるように基準が定められています。

ここでは特に医薬品と化粧品の定義について詳しく解説していきましょう。

医薬品の定義

医薬品の定義は、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされるもの」です。

例えば解熱剤・鎮痛剤といった薬局で買えるお薬はすべて医薬品と呼ばれます。

さらに「治療・治る」といった効能効果は医薬品だけが謳える言葉です。

化粧品や医薬部外品の広告では使用できない言葉であるため注意しましょう。

化粧品の定義

化粧品の定義は「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なものです。

具体的には、ファンデーション・化粧水・シャンプー・歯磨き粉・石鹸・入浴剤などが挙げられます。

また、化粧品はあくまで「人体に対する作用が緩和なもの」です。

よって、化粧品や医薬部外品において「ニキビが治る・肌荒れに効く」といった広告は薬機法(薬事法)違反となります。

薬機法(薬事法)と健康食品の関連性について

医薬品や化粧品が薬機法(薬事法)で規制されているのに対し、広告でよく見かける健康食品は薬機法(薬事法)の適用対象には含まれていません。

ただし、広告や商品説明において、医薬品的な効果・使い方を提示したり、医薬品のしか使えない原料を使ったりすると薬機法(薬事法)違反とみなされます。

例えば、とあるサプリメントの広告に「ガンに効く」と書いてあった場合、これは薬機法(薬事法)違反です。

そもそも「ガンが治る」という効能効果は医薬品的な効果になります。

このような医薬品の「疾病の治療・治癒」といった効能効果は、元々様々な厳しい審査を経て承認されているものです。

仮に、承認なしに健康食品が医薬品の効能効果である「疾病の治療・治癒」を謳った場合、

未承認の医薬品のまがい物が世に出回ってしまうことになり、消費者の安心安全が脅かされてしまうといえます。

そのため、健康食品は医薬品専門の効能効果である「疾病の治療・治癒」を表示してはならないことになっています。

広告において薬機法(薬事法)違反をした場合のペナルティー

薬機法(薬事法)のペナルティーには大きくわけて2種類があります。

  • 行政指導:違反状態の改善・報告書の提出が求められる
  • 刑事罰:懲役・罰金のどちらか、またはその両方が科せられる

ペナルティーを受けるきっかけとなる1番の原因は、「同業者からの告発」です。

行政指導においては、年に数十万件程度の指導があるといわれています。

また、中には「行政指導で改善しなかった場合に刑事罰が科されるから、行政指導されたら改善すればいい」と思っている方がいるかもしれません。

実はそれは誤った認識です。警察はある日突然やってくる場合もあります。

薬機法(薬事法)における広告の定義と3要件について

広告に記載されている文章について薬機法(薬事法)違反かどうかを考える前に、

そもそものコンテンツが薬機法(薬事法)上の広告にあたるかどうかを確認する必要があります。

薬機法(薬事法)における広告とは以下の3つの条件を満たしたものです。

  • 誘因性
  • 明示性
  • 一般性

言葉だけ見てもわかりにくいため、それぞれを詳しく解説していきます。

薬機法(薬事法)における広告の条件①:誘因性

誘因性がある広告とはつまり、「お客さんに商品・サービスを購入してほしいという明確な意図がある広告」のことです。

例えば以下のようなサイトは誘因性があるといえるでしょう。

  • アフィリエイトリンクがあるサイト
  • インフルエンサーが発信するPR投稿
  • 企業が自社の商品ページに誘導しているサイト

ただ、「お客さんを誘導するリンクを貼らなければ誘因性はない」と認識は危険です。

「○○(商品名)で検索を!」というような文言も、誘因性として捉えられる可能性は十分にあります。

薬機法(薬事法)における広告の条件②:明示性

「商品の名前・情報・写真」などが文中で明らかにされている場合、明示性があるとみなされます。前述のように「リンクの有無」だけで判断されるわけではないので注意が必要です。

薬機法(薬事法)における広告の条件③:一般性

一般性とはつまり、一般人が認知できる状態であることです。ここでの一般人とは、自社以外のすべての人のことです。(2016年東京都薬務課講習会Q&Aより)

よって、広告代理店や販売代理店に渡す用の資料も一般性があるため、広告という扱いになる可能性が高いでしょう。

実際に広告とみなされる具体例を紹介

実際にどんなものが広告としてみなされるのか、わかりやすく具体例で紹介していきます。

  • 商品の容器・包装に書かれている表示
  • 商品のチラシ・パンフレット
  • テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネットなどによる広告文章
  • その物と同じ売り場内にある、商品と関連した書籍
  • 新聞・雑誌などの切り抜きや書籍・論文からの抜粋
  • 代理店・販売店に教育用として渡す商品説明用の資料
  • 商品使用体験者による体験談
  • 店内や電車内におけるつるし広告
  • 店頭・訪問先・説明会・相談会におけるキャッチセールスやスライド、口頭での演術など

体験談は一見広告とは関係がないように感じますが、広告として活用する場合は注意が必要です。

また、体験談の中で商品に対して医薬品でしか表示できない効能効果について触れてしまうと、薬機法(薬事法)違反になる恐れがあるため注意しましょう。

口頭での演説に関しては、他者によって録音されたものが薬務課にリークされるケースが考えられます。

口頭だからといって、何を話してもいいというわけではありません。

薬機法(薬事法)と景品表示法の違いとは?

薬機法(薬事法)と景品常時法の違いの1つに「対象としているもの」が挙げられます。

薬機法(薬事法)だと医薬品や化粧品などの「モノ」だけが対象となります。

よって、エステサロンで行われる施術は薬機法(薬事法)の対象外です。

しかし、エステサロンで使われる化粧品に関しては薬機法(薬事法)で規制される対象となっているため、注意が必要です。

一方景品表示法は、「すべての商品・サービス」が対象です。

モノだけではなく、目に見えないサービスにも適用されることは把握しておきましょう。

まとめ

本記事では、薬機法(薬事法)における医薬品や化粧品の定義や広告としてみなされる3つの条件について解説してきました。

薬機法(薬事法)において、「治る」という意味合いの言葉が使用できるのは「医薬品」のみです。

化粧品や医薬部外品、健康食品では使用できません。

また、広告の3要件は最初に必ず確認し、広告に該当する場合には、違反のない内容に整える必要があります。

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