薬機法 ( 薬事法 )とは何か?

薬機法(薬事法)は医薬(部外)品や化粧品などに関連する法律です

しかし、「具体的にどのようなものなのかもわからないし、違反した場合にどうなるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

本記事では、化粧品や健康食品を販売する・扱っている方に向けて、薬機法の概要や8月からスタートする課徴金制度などについて詳しくみていきます。

薬機法( 薬事法 )とは何か

薬機法とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器に対して効力を持つ法律です。

管轄は厚生労働省、都道府県となっており、法令の内容は、以下のように定められています。

第1条:この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする

引用;厚生労働省|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

1960年に旧薬事法が制定され、2014年に法改正を経て『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』(略称:薬機法、医薬品医療機器等法)と名称が変わりました。

このタイミングで新たに改正された項目は以下の3つです。

  • 医薬品の販売規制の強化(要指導医薬品と医療用医薬品は対面でなければ販売できないなど)
  • 医療機器制度の整備(例;高度管理医療機器は製造販売に関して、登録認証機関による認証または承認、販売に関しても許可が必要など)
  • 再生医療等製品の規制(再生医療等製品の定義は遺伝子や細胞を使い治療・予防を行う製品のこととするなど)

薬機法(薬事法)では、全ての人々が対象である点と承認された効能効果以外は表示できない点は把握しておきましょう。

また、誇大広告に関しても薬機法で規制されているため、違反した場合は事業者だけでなく、個人も含めた全ての人が罰則を受けます。

 

薬機法(薬事法)と景品表示法

薬機法(薬事法)に関しては、不当な表示や広告は関係ないように見えるものの、この場合は景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に抵触します。

表示に該当する要素は、チラシやパンフレット・ポスター・口頭など多岐にわたる点は把握しておきましょう。

この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする

引用;消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法

 

加えて、不当表示は以下の3つのように種類が分かれています。

  • 優良誤認(サービス、商品の質などの内容に対するもの)
  • 有利誤認(サービス、商品の価格などの取引条件に対するもの)
  • その他(表現として誤認されるもの)

景品表示法の管轄は、消費者庁・公正取引委員会・都道府県(市区町村も)です。

薬機法(薬事法)との違いを簡潔にいうと、薬機法は「医薬品等の安全性や効能効果に対するものを規定するもの」です。

対して、景品表示法は「不当表示から消費者を守るためにあるもの」なので厳密に役割が異なるため、混同には注意しましょう。また、景品表示法の対象は事業者である点も異なります。

 

薬機法( 薬事法 )違反となった場合の処遇

薬機法違反となった場合の処遇は以下のものなります。(医薬品に該当するものと認知される、無許可で販売するなど)

  • 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(第66条・虚偽誇大広告、第68条未承認医薬品の広告の禁止に該当・第85条5号)
  • 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(第84条9号)
  • 行政指導(業務改善命令、措置命令、業務停止命令、許可・登録取消。是正後の報告は必須)

一般的に薬機法違反と疑われる場合、同業者からの情報提供・消費者からの通報・行政期間などの方法で発覚します。

 

薬機法( 薬事法 )におけるOKとNG表現事例

ここからは、薬機法(薬事法)におけるOKとNG表現の具体的な事例をみていきます。

OK事例

1.薬用化粧品

・ふけ・かゆみを防ぎ毛髪・頭皮をすこやかに保つシャンプーです。

2.新指定医薬部外品

・胃のむかつきを抑えます

3.化粧品

・肌に潤いを与え、乾燥による小じわを目立たなくするスキンケアです

・肌に清涼感を与える(メーキャップ効果)

全て56の効能効果に沿った効能効果を示すものです。

指定医薬部外品は、元々医薬品として扱われていましたが、販路が拡大したことから薬剤師などがいないドラッグストアなどでも販売されています。

(作用が強くないこと、副作用がないことが条件)

参考:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について

参考:日本化粧品工業連合会|化粧品等の適正広告ガイドライン

NG事例

1.虚偽・誇大広告

・高血圧治療薬の効果に対する臨床研究のデータ改ざんを行い、このデータを基に販促した

・無許可での医薬品的な効能効果を表示して未承認薬を販売した

・添付資料として、「脂質異常症を発現が類薬として少ないため、脂質異常症の合併が認められる患者も治療対象となる」としたが比較方法が不十分だった

2.ガバナンス違反

・承認書と異なる製造方法で医薬品の製造が行われていることを役員が認識しながら改善しなかった

・副作用の報告遅延

3.偽造医薬品

・C 型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の海外の偽造医薬品が国内に流通

参考:厚生労働省|テーマ②に関する現状について(医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実)

参考:厚生労働省 医薬・生活衛生局|最近の薬事監視行政GMP話題を中心に

 

覚えておきたい8月から始まる課徴金制度

薬機法(薬事法)はこれまでも改正を重ねてきましたが、2021年8月1日からは虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器等の販売に係る課徴金制度が始まります。

制度がスタートする理由は、これまでの罰則が軽度であったためです。

薬機法違反で最も多いものは広告違反なのですが、政府によると違反事例は減少傾向にありません。

そして、許可を持っていない事業者が薬機法違反をしていながらも、何らかのサービスや製品を利益目的で販売していることも多い状況にあります。

ちなみに、法人でもこれまでは1億円の罰金が最高額でした。つまり、今までの薬機法の罰金ではある程度限度が決まっていたといえます。

 

しかし、課徴金制度では、最大で3年間を対象期間として、該当する商品に対する売上額の4.5%を課徴金として支払う必要があります。

また、薬機法の対象は全ての人であることから、個人・企業などの規模は関係ありません。(課徴金が課されなくても、措置命令がある。今回の場合の課徴金は販売メーカーが主な対象)

 

加えて、一般健康食品に関しても医薬品的な効能効果をうたった場合は課徴金・薬機法違反の対象となる点も把握しておくことが大切です。

ちなみに、225万円以下(売上5,000万以下)は課徴金の対象にはならないものの刑事罰の対象となるため、売り上げに関係なく意識しなければならないといえます。

薬機法( 薬事法 )を意識した表現方法が大切

薬機法(薬事法)は医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の他に健康食品も対象となる法律です。

また、それぞれの分類で謳うことのできる効能効果は細かく規定されているため、表現方法に注意しなければなりません。

そして、8月1日から始まる課徴金制度は金額だけでなく、薬機法(薬事法)に関係する商品を取り扱う方全てに知識が問われることになります。

売上額だけでなく、違反となった場合のリスクを把握しておく必要があるためです。

自分の身を守るためにも薬機法(薬事法)を意識した表現を意識していきましょう。

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