「薬剤師の資格を活かして副業をしたい。でも、結局は別の薬局で働くしかないのだろうか」そんなことはありません。
薬剤師には、調剤薬局やドラッグストアなどで勤務する以外にも、医療ライター、記事監修、医療・ヘルスケア分野のコンテンツ制作など、知識や経験を活かせる副業があります。ただし、何を選んでも同じではありません。
今すぐ収入を増やしたいのか。それとも、本業以外にも自分でシゴトを創れる状態を目指したいのか。目的によって選ぶべき副業は変わります。
この記事では、薬剤師が考えられる副業を紹介したうえで、「薬剤師資格を持っている」から一歩進んで、自分の経験をどうシゴトへ変えるのかまで具体的に解説します。
薬剤師は副業できる?まず確認したいこと
薬剤師だから副業が一律に禁止されているわけではありません。厚生労働省も副業・兼業に関するガイドラインを公開しています。ただし、「薬剤師なら誰でも自由に副業できる」と考えるのも危険です。
確認したいのは、主に次の3点です。
- 勤務先の就業規則で副業・兼業が認められているか
- 本業の勤務や健康管理に支障が出ないか
- 管理薬剤師など、現在の立場による制限がないか
特に薬局の管理者は、原則として、その薬局以外の場所で薬事に関する実務へ従事することが制限されており、例外的な兼務には許可が関係します。
そのため、調剤など薬剤師業務そのものを副業にする場合は、勤務先や自治体などへ個別に確認してください。では、何を副業にするのか。ここからが本題です。
薬剤師が考えられる副業5つ

1.別の薬局・ドラッグストアなどで働く
もっともイメージしやすいのは、休日や本業終了後に、別の薬局などで薬剤師として働く方法です。実際に、兼業・副業可能として募集されている薬剤師求人もあります。
すでに持っている資格と実務経験をそのまま活かせるため、新しく別の専門スキルを身につけなくてもシゴトを始めやすいのが特徴です。一方で、基本的には「働いた時間に対して報酬を受け取る」形になります。
収入源を増やす目的なら有力ですが、
「将来は場所に縛られず働きたい」
「自分の専門性を使って別のキャリアを創りたい」
という人には、それだけでは選択肢が広がりにくいこともあります。
2.薬剤師ライターになる
薬剤師の経験と「書く」を組み合わせる方法が、薬剤師ライターです。薬、疾患、セルフメディケーション、医療制度など、医療・ヘルスケア分野では専門的な情報を一般の読者にも理解できる形へ変える必要があります。
ここで薬剤師としての経験が活きます。ただし、薬剤師資格を持っていれば、そのまま医療ライターとして選ばれるわけではありません。
たとえば、「服薬指導を5年間経験しました」だけでは、依頼者からすると「それが記事制作にどう役立つのか」が分かりません。
一方、「服薬指導の経験を活かし、専門用語が多い医薬品情報を患者さんにも理解しやすい表現へ整理できます」まで言えると、資格や経験が提供価値へ変わります。
提案文に関する考え方でも、経歴を並べるだけではなく、依頼者に対して何を提供できるのかを伝えることが重要です。
中道麻智子FUNADE講師 中道麻智子の考え方
薬剤師資格は強みになり得ます。ただ、資格そのものがシゴトを生むわけではありません。
見るべきなのは「私は何を知っているか」ではなく、その知識によって、誰のどんな困りごとを解決できるのかです。
病院、調剤薬局、ドラッグストア、製薬企業。在宅医療、小児、糖尿病、抗がん剤。ひとことで薬剤師といっても、経験してきたことは違います。その違いまで掘ると、自分だけの専門性が見え始めます。
薬剤師ライターについては「薬剤師ライターとは?シゴト内容・なり方・収入・案件獲得まで解説」もご参考ください。
3.薬機法や広告表現に関わるライター・チェック業務
美容、健康食品、医薬品、医療関連サービスなどに関心があるなら、薬機法や広告表現について学び、ライティングや表現チェックへ活動範囲を広げる方法もあります。
ここで注意したいのは、「薬剤師だから薬機法も分かるはず」とは限らないことです。薬学や医薬品についての専門知識と、広告表現を読み解いて適切な表現へ落とし込む力は別物です。
薬剤師としての知識を土台にしながら、薬機法や広告、セールスライティングなどを追加で学ぶ。こうして複数の専門性を組み合わせることで、単に医療記事を書く以外のシゴトも考えられるようになります。
4.医療・健康記事の監修をする
薬剤師としての専門性を活かし、Webメディアなどの記事監修に関わる方法もあります。
原稿を一から書くのではなく、
- 医薬品に関する説明に誤りがないか
- 読者に誤解を与える表現になっていないか
- 専門的な内容と一般向けの説明にズレがないか
といった視点から内容を確認します。ただ、「薬剤師免許があります」とプロフィールへ書いて待っているだけで依頼が生まれるわけではありません。
たとえば、糖尿病領域を長く担当してきたなら、「薬剤師」という大きなくくりではなく、「糖尿病患者への服薬指導経験を活かし、糖尿病・生活習慣病領域の記事制作や監修に対応する」と専門領域を具体化したほうが、何を頼める人なのかが伝わりやすくなります。
5.医療知識を教材・コンテンツへ変える
もう少し視野を広げると、「記事を書く」以外にも薬剤師経験の使い道があります。
たとえば、仮に製薬企業やヘルスケア企業から、
「新人向けの医薬品解説資料を分かりやすくしたい」
「患者さん向けコンテンツを創りたい」
という相談があったとします。
ここでは必要なのは、文章を書く力だけではありません。誰に何を理解してほしいのかを整理し、専門情報を選び、相手に届くコトバへ変換する力が必要です。
AIによって文章そのものを生成しやすくなった現在、書く前のヒアリングやリサーチ、強みを引き出す部分にもライターの価値が上がっています。
これは医療分野とも相性のよい考え方です。専門情報を大量に知っていることより、必要な相手へ、必要な情報を、伝わる状態に変えられるかが価値になるからです。
薬剤師が副業を選ぶなら「時間を売るか、経験を資産にするか」を考える
副業選びで迷ったら、「どちらが儲かりそうか」だけを見るのではなく、次の2つに分けて考えてみてください。
| 考え方 | 例 | 特徴 |
| 時間を使って収入を増やす | 薬局・ドラッグストア勤務など | 現在の資格をそのまま使いやすい |
| 経験・専門性を価値へ変える | 薬剤師ライター、監修、コンテンツ制作など | 始めるまで学習・実践が必要だが、シゴトの幅を広げやすい |
どちらが正解という話ではありません。月数万円の収入を早めに増やしたいなら、薬剤師として別の職場で働くほうが目的に合うこともあります。
一方、
「今の職場以外でも通用する力を持ちたい」
「将来的に副業を第二のキャリアへ育てたい」
のであれば、自分の知識や経験を別の価値へ変える副業も検討する意味があります。



FUNADE講師 中道麻智子の考え方
副業というと、「本業以外でもう一つ何をするか」と考えがちです。FUNADEでは、まったく新しい自分になる必要はないと考えています。
薬剤師経験+ライティング、在宅医療経験+インタビュー、小児領域+患者向けコンテンツ制作。
すでに自分の中にあるものへ別のスキルを掛け合わせると、シゴトの選択肢は変わります。実際、B&H Promoter’sの事例でも、自分の小説創作経験と新しく学んだ力を結びつけたことで、1件30万円を超える依頼につながったケースがあります。
薬剤師経験を活かした副業を始める4ステップ


では、実際に何をすればよいのでしょうか。
ステップ1.これまでの経験を10個書き出す
資格名だけではなく、現場経験まで書きます。
たとえば、
- 調剤薬局で8年間勤務
- 在宅訪問を経験
- 糖尿病患者への服薬指導が多い
- 新人薬剤師の教育を担当
- 患者向け資料を創った
- OTC医薬品の相談対応をしてきた
といった具合です。
ステップ2.「誰の何を解決できるか」へ変換する
次に、それぞれの経験について、「この経験は誰に役立つのか」を考えます。「在宅医療経験あり」で終わらせず、「在宅医療について一般向けに分かりやすく解説したい医療メディアへ、現場感のある情報を提供できる」
まで変換します。
ステップ3.小さな実績を自分で創る
薬剤師ライターを目指すなら、依頼を受けるまで待つ必要はありません。仮に「薬剤師×糖尿病」を専門領域にするなら、その読者を想定した記事を一本創り、ポートフォリオにできます。
監修をしたいなら、「どんな観点で原稿をチェックできるのか」をサンプルとして示す方法もあります。実績は、誰かから与えられるまで待つだけではありません。
制作見本の創り方については、「実績なしからライターとして有料案件を獲得する方法|制作見本の創り方を解説」もご参考ください。
ステップ4.自分ができることではなく、相手が得られる価値を提案する
「薬剤師です」
「記事を書けます」
「薬機法を勉強しました」
だけでは、依頼理由としては弱いままです。
提案するときは、「あなたに依頼すると何が変わるのか」まで考えます。提案は自分がやりたいことからではなく、相手が達成したいゴールから逆算することが重要です。
シゴト獲得方法については「ライターの単価アップにつながる「案件ソウゾウ力」とは?シゴトを創る5ステップ」もご参考ください。
薬剤師が副業を始めるときの注意点
副業を始める前に、お金の管理についても確認しておきましょう。
給与を1か所から受け、年末調整を受けている一般的な給与所得者の場合、給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。ここでいう20万円は「売上」ではなく、収入から必要経費を差し引いた「所得」です。
ただし、給与を複数箇所から受け取る場合など条件によって扱いが変わるため、自分のケースは国税庁などの最新情報で確認してください。
そしてもう一つ。
本業に支障が出るほど副業を詰め込まないことです。薬剤師として週5日勤務し、休日も別の薬局で一日働き、さらに夜にライティングをする。これでは、収入源は増えても働く時間も増え続けます。
何のための副業なのかは、定期的に見直したいところです。



FUNADE講師 中道麻智子の考え方
副業のゴールを「月3万円増やす」に置くのか、「3年後に会社以外からもシゴトを得られる自分になる」に置くのか。
ゴールが違えば、今やるべきことも違います。
資格を使って働くのも一つの方法です。ただ、薬剤師として積み重ねてきた経験を、別の誰かに必要とされる価値へ変えられるようになると、副業は単なる収入補填ではなく、新しいキャリアを創る入口になります。
まとめ 薬剤師の副業は「資格」ではなく自分の経験から創ろう
薬剤師の副業には、別の薬局などで働くほか、医療ライター、薬機法や広告表現に関わるライティング、記事監修、医療コンテンツ制作などさまざまな方向があります。
大切なのは、「薬剤師にできる副業は何か」だけで選ばないことです。まず、今すぐ収入を増やしたいのか。それとも、自分の専門性をシゴトへ変えられる力を育てたいのか。ここを決めてください。
後者を選ぶなら、今日できることはシンプルです。
これまで経験した業務、得意な領域、人より詳しく説明できるテーマを10個書き出し、それぞれについて「誰の、どんな悩みを解決できるか」を考えてみてください。そこから、薬剤師資格だけでは見えなかった「自分だから創れるシゴト」が見えてきます。
薬剤師ライターのシゴト具体的に知りたい場合は、「薬剤師ライターのシゴトは何がある?仕事内容と資格・経験を案件につなげる方法」で資格や経験を活かした実績の創り方まで解説しています。
なお、薬剤師の資格にセールスライティング、薬機法、提案力、営業を掛け合わせ、収入に繋げる働き方“コトバツカイ”について詳しく知りたい方は「AI時代に求められ続ける新しい職業「コトバツカイ」とは」をご覧ください。
薬剤師経験を、シゴトとして必要とされる価値へ変えたい方へ


FUNADEでは、書く力だけでなく、リサーチ・ヒアリング・制作・提案まで、やくざ市の資格を活かしながら実際にシゴトへつなげるところを重視しています。
まずはFUNADEの関連コンテンツを読みながら、自分の経験を棚卸しするところから始めてみてください。さらに体系的に学び、制作へのフィードバックを受けながら実践したい場合は、B&Hライター養成講座の情報も無料体験ウェビナーで確認できます。



