「参加者数が増えなくて悩んでいます」
セミナーやイベントを運営している事業主からよく聞く相談です。
しかし、マーケター歴15年以上の江良はこう問い返します。
「そもそも、追うべき数字はそれで合っていますか?」と。
RASHINBANの第281回事例検討会に寄せられたある相談をもとに、セミナー・イベント運営で陥りがちな「数字の見誤り」と、その根本にある思考法を解説します。
「参加者数を最大化したい」その目標は本当に正しいか
相談者はイベントを定期的に開催しており、最終的なゴールはコンテンツを販売することでした。
しかし悩みの焦点は「イベントへの参加者数が伸びない」という点にありました。
江良が指摘したのは、ゴールと追っている数字のズレです。
最終的にコンテンツを売りたいなら、必要なのは「コンテンツを買ってくれる可能性がある人に来てもらうこと」。
参加者数の最大化とは、目的がまったく異なります。
100人より、興味のある10人、見かけの数字に惑わされない
イベントに100人集まっても、そのうち90人が買ってくれない可能性が高い人だとしたら、どうでしょうか。
一方で、本当に興味を持っている人が10〜20人だったとしても、興味を持ってくれている人のほうがコンテンツ販売のゴールには近い。
「買ってくれない可能性が高い人に来てもらっても、ぶっちゃけ意味ない。
仮に少人数でも、本当に興味がある人だけに来てもらえればいい。」
見かけの数字が大きくなっても、ゴールに近づいていなければ意味がありません。これがKPI設計でもっとも見落とされやすい落とし穴です。
ゴールからギャクサンして「追うべき数字」を決める
江良が強調するのが「ゴールからギャクサンする思考」です。
セミナーやイベントを企画する前に、まず問うべきは「なぜこのイベントをやるのか」「最終的なゴールは何か」という問いです。
- ゴールがコンテンツ販売なら
- 追うべきは「購入可能性の高い人の参加数」や「バックエンドへの転換率」
- ゴールが認知拡大・集客なら
- 追うべきは「参加者数」や「リーチ数」
同じイベントでも、ゴールが違えば追うべき数字はまったく変わります。
「必ずゴールからギャクサンして、そのゴールを達成するために必要な人数は何人か、と考えるのがポイント」と事例検討会では常に話しています。
「セミナーに人が集まるのに売れない」、それはファネル設計の問題
「セミナーには人が集まるのに、バックエンドが売れない」という相談は珍しくありません。
江良はこれを「集め方そのものの問題、つまりファネルの設計ミス」と指摘します。
集まっているのは、そもそも買う可能性が低い人たち。
セミナーへの集客経路や告知の文言、ターゲット設定を見直すことで、参加者の質は変わります。
少人数でも「少人数限定セミナー」として打ち出せば、むしろ希少性として機能することもあります。
「人数を集める」vs「質で絞る」、どちらが正解か
とにかく人を集めてフロントを最大化する戦略も、一つの正解です。
大人数の中に購入層が含まれれば、売上の最大化につながる可能性はあります。
江良自身は「興味を持ってくれる人だけに来てもらえれば十分」という少人数派ですが、これはやり方の好みの問題だと話します。
大切なのは、どちらの戦略を取るにしても「なぜそのイベントを開催するのか、ゴールは何か」を明確にした上で数字を設計することです。
目的が曖昧なまま参加者数だけを追っていると、頑張るほど本来のゴールから遠ざかることになりかねません。
数字を設定する前に、ゴールを設定する
セミナーやイベントを運営するとき、「参加者数」はわかりやすい指標であるがゆえに、目的化しやすい数字です。
しかし重要なのは、ゴールを達成するために必要な数字を追うこと。
多ければいいわけでも、少なければいいわけでもありません。
- このイベントの最終ゴールは何か?
- そのゴールを達成するために必要な参加者は、どんな人か?
- その人たちに届く集め方をしているか?
- 追っている数字は、ゴールからギャクサンされているか?
数字を設定することは大切です。ただし、何を基準に設定するかがさらに大切。
この問いを持つことが、セミナー・イベント運営を変える第一歩になります。
「ギャクサンシコウ」を身につけることで目的に合ったゴールが見えてきます。


