薬機法(薬事法)を理解する上で必要なことの1つが「事例」の把握。薬機法は指導事例は公開されることが基本ないため、知る機会は非常に限られます。
そこで活用したいのが、東京都保健医療局が開催している『医薬品等広告講習会』。私は毎年、質疑応答を聞きたいがために参加しています。
回答数はそこまで多くなかったのですが、私がメモしていた限りの内容をジャンルごとにまとめました。ぜひ、日々の業務の参考にしてください。量が多いので、「CTRL+F」(Windows)などで検索すると便利です。
もくじ
医薬部外品(薬用化粧品)・化粧品
化粧品では物理的に紫外線を防ぐことにより日焼けを防ぐなど標榜を行うことは可能。
一方で紫外線を受けた後のはケアを化粧品で標ぼうすることはNG。仮に医薬品などで承認を受けた場合は可能になる。
「保湿成分でダメージを補修して強い髪に導く」は髪質改善になるのでNG。「乾燥ダメージを補修」も回復的表現でNG。補修は物理的効果である必要がある。
関連質問:ヘアケア「髪を補修という表現は問題ない認識ですが髪を補強はNG?」
→髪質改善となりNG
一律には不可とはしないがリラックスを過度に強調することで精神作用を強調し化粧品の作用を誤解させる懸念がある
人の皮膚を清浄にする、人に芳香を与えるのは化粧品に該当
製造販売業等の許可が必要なので、許可なしで販売は薬機法上問題がある
かなり昔に書いた記事ですが、薬機法 ( 薬事法 )をクリアするには 雑貨 として 手作り石けん を売るも参考にしてください。
薬機法 ( 薬事法 )をクリアするには 雑貨 として 手作り石けん を売る
いわゆる健康食品
食品であることを明確にすれば不可ではない
診療施設や販売代理店向けであってもNG
健康食品や雑貨の広告において医師等が推奨することのみを以て直ちに薬機法違反とはならないが、推奨の内容に医薬品的効能効果を含めることはできない
※化粧品・医薬品ではそもそも医師等の国家資格保有者が推薦を行うこと自体がNGなので注意が必要です(よく質問を頂く内容)
広告全体で病的状態の改善、疲労回復にならなければ不可ではない
(追記)
これは少し意外だったのですが、媒体審査では「元気が出る=疲労回復」とされてNGになるケースを見かけます。
雑貨・薬事該当性など
トレーニングによる効果であることを明記すれば不可ではない
広告の該当性の3要件にある「一般人」の意味は「広告主以外」を指すので、BtoBであったとしてもダメ
関連質問:医療従事者の使用を想定する医療機器の場合、医療従事者向けのフライヤーなどは広告に該当しないのか?
→該当する
※この質問は過去の講習会でも出ていて、同じ回答がされています
該当する
その他
・業界団体のガイドラインについて
→各業界団体にお問い合わせください
・動物用の医薬品、医療機器、食品について
→動物薬事を主管する部署にお問い合わせください
※農林水産省が管轄です
・機能性表示食品について
→消費者庁へお問い合わせください
資料・テキスト入手先
東京都福祉保健局の下記ページより入手が可能です。
まとめ:事例を正しく把握することが理解度を高める最短ステップ
以前の記事(令和3年度 医薬品等広告講習会(東京都福祉保健局)のQ&Aまとめ)でも書いたのですが、薬機法の事例は基本的に公開されることがないため、行政の方から直接話を聞ける機会はとても貴重です。
私が業務の中で常に意識していることは、各種ルール・ガイドラインの理解はもちろんですが、やはり事例からの推測。
例えば、「過去に○○がダメだった事例がある」場合、①なぜダメだったのか?、②他にどのようなケースが考えられるか?など、1つもしくは複数の事例から一般化(抽象化)することができるようになると、薬事業務の可能性が一気に広がります。
もちろん、最終的な判断は都道府県の薬事行政なため、どうしても不安な方は薬務課に相談することをおすすめします。
この記事が薬機法の判断の一助になれば幸いです。