今回のテーマは第277回事例検討会で出た大きな「M&Aに対してどうお考えなんですか?」という質問。
マーケター歴15年以上の江良は実は経理にもいた経験があり、ちょっと変わった視点からビジネスを見ることができます。
そんな江良から見た今回の大きなM&Aについて深堀してみます。
AIが変える「個人事業の天井」
近年、情報商材系プラットフォームのM&Aが話題になっています。今回の場合、シナジーが生まれる買収に見え、とてもいいものだったのではないか、と解説しています。資金力のある事業者であれば、既存事業を買収するだけでなく、新規事業やアプリを立ち上げるという選択肢も十分に現実的です。
ただ江良が同じ状況になったら「日本一・日本初のアプリを開発する」とも言っています。これは個人の考えに寄ってきますが、「どんなことをしたいか」の軸を持っておくことが大事になります。
M&Aは有効な手段ですが、今後はそれと並行して、もう一つの大きな潮流が生まれようとしています。
それが、AIを活用する「ソロプレナー」の台頭です。
これまでの個人事業主・一人社長には、作業量や時間という物理的な上限がありました。一人でできることには限りがあり、売上もその天井を超えにくい構造でした。しかしAIの登場によって、その天井が大きく引き上げられようとしています。一人でも、以前は複数人が必要だった仕事量をこなせる時代が、すでに始まっています。
「ノウハウを売る」だけでは通用しない時代へ
それでは今回プラットフォームのM&Aだったので、情報商材に視点を向けてみましょう。
AIの進化によって、一般的なノウハウや知識はAIが即座に答えられるようになりました。
「〇〇のやり方」「〇〇の手順」といった情報そのものの価値は、以前と比べて大きく下がっています。
では、これからの事業者はいったい何を売るべきなのでしょうか。
キーワードは「体験を売る」です。
知識ではなく、相手の記憶に残る体験。
顧客の変化・成長そのものを成果として設計できるかどうかが、AIに代替されにくい価値の核心になってきています。
AI時代に生き残る4つの事業領域
今後の事業モデルを再設計するうえで、参考になる4つの領域があります。
この4つの体験のどれかを売っているかがAI時代に生き残るカギになってきます。
この4つの視点から、ノウハウ販売からの脱却がAI時代に生き残るカギになります。
① 人の進化・成長を売るビジネス
スキルや知識の習得を基軸に、顧客が「変わった」「成長した」と実感できる体験を提供する。成長の過程そのものが商品になります。
② 新しいライフスタイルを売るビジネス
商品やサービスを通じて、顧客の日常や生き方そのものを変えるような価値を提供する。「このサービスを使い始めてから生活が変わった」という体験が差別化の軸になります。
例えば、女性がしっかり稼いで旦那さんには専業主夫になってもらう、という新しい価値観の提供もこの新しいライフスタイルのきっかけを作り出すことがあります。
③ 新しい生き方・考え方を売るビジネス
価値観や思想の転換をもたらすコンテンツや場を提供する。顧客の「ものの見方」が変わることが、そのまま商品の価値になります。
④ 新しい職業を作り、職人を育てるビジネス
世の中にまだない職業を定義し、その担い手を育成する。単なるスキル講座ではなく、「新しい職業人」を輩出するプラットフォームとして機能することが求められます。
薬機法ライターという事例
この4領域が実際にどう機能するかを示す好例が、「薬機法ライター」という職業の育成です。
薬機法ライターとは、薬機法を意識したライティングを専門とする新しい職種です。この育成講座は、単なるスキル提供にとどまりません。
- ライターとしての成長体験(①)
- 在宅・フリーランスという新しいライフスタイル(②)
- 薬機法という専門領域への新しい考え方(③)
- 「薬機法ライター」という新しい職業の創出(④)
この4領域すべてが重なっているからこそ、単なるノウハウ販売とは一線を画した強度ある事業モデルになっているのです。
事業を「体験設計」として見直す
コンサルティングの価値も、同じ観点で4つの軸で捉え直すことができます。
そしてこの軸で考えるからこそ、AI時代との差別化のきっかけになっていきます。
アドバイスを提供することそのものではなく、顧客の成長を見届けられることに本質的な価値があります。顧客が変化し、成長していく過程を共に歩めるかどうか。それが、AIには代替しにくい人間の関与の価値です。そこに楽しみを感じられる方は4つの軸に基づいたコンサルタントとしての道を探してみるのも面白いかもしれません。
これまでと同じ事業モデルが今後も通用するとは限りません。常に自社の商品・講座・コンテンツが上記4領域のどこに当てはまるかを問い直し、事業の見直し速度を上げていくことが、これからの事業者に求められています。
ただその見直しを一人でしていくのは大変。他者の意見から新しいビジネスのヒントが見えてくることもあります。
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