薬機法 ( 薬事法 )をクリアするには 雑貨 として 手作り石けん を売る

(2016/07/07 加筆修正して大幅にボリュームを増やしました)
(2020/03/04 メルカリは手作り石けんなどは出品NGです)

化粧品 ビジネスを始めるための4通りの方法を先日お伝えしました。

化粧品 を自分で作って販売するという場合、「 化粧品製造販売業許可 」の許可が必要です。この許可を取るためには、薬学や化学の専門課程を修了している製造に関する責任者を配置する必要があります。他にも試験検査設備を置いたり、記録を細かくつけるなどいくつものハードルがあります。

では一体、オークションで手作り石けんを販売している人たちはどのようにして薬事法をクリアしているのでしょうか?

実は、手作り石けん を許可を取ることなく簡単に販売するには化粧品ではなく雑貨として石けんを販売すればよいのです。

本日は、『 手作り石けん を 薬機法 ( 薬事法 )をクリアしつつ販売する方法』についてお伝えします。

手作り石けんは「 雑貨 」として売る

化粧品製造販売業許可の許可を取らずに 手作り石けん を合法的に売る方法。それは、 手作り石けん を「 雑貨 」として売ることです。

オークションサイトでは、ほとんどの出品者が 手作り石けん を 化粧品 ではなく「 雑貨 」として販売しています。

化粧品製造販売業許可がなければ、 手作り石けん といえど「 化粧品 」としては売ることができません。さらに、他人にあげることもできません。あくまでも自分で使うだけに限られます。

一方、「 雑貨 」の場合は扱いが洗濯石けんと同じ扱いになります。 薬機法 ( 薬事法 )をご理解されている方の出品を見ると、

・出品中の石けんは、薬事法上『雑貨』扱いになります。
・この石鹸は薬事法上の化粧石鹸では無く、台所用雑貨品(洗濯・台所洗剤)ですのでご自身の判断でご入札くださいますようお願いします。
・化粧品・医薬品・医薬部外品のいずれにも該当しません。

なんて一文が書いてあったりします。

「 雑貨 」というのは洗濯石けんと同じなので、「化粧品」という文字や「肌」「顔」に使うといった表現は使えません。

もし、化粧品製造販売業許可がないのに 手作り石けん の説明に「化粧品」「顔」「肌」なんて表現を使っていたら・・・薬機法 ( 薬事法 )違反になります。

薬機法 ( 薬事法 )に違反するとどういう罰則があるのかについては別の機会に取り上げますが、 手作り石けん といえども油断は禁物です。

そもそも 雑貨 とはなに?

雑貨とはなにか?を「雑貨とは」でgoogle検索してみました。

デジタル大辞泉の解説
ざっ‐か〔‐クワ〕【雑貨】
日常生活に必要なこまごました品物。「雑貨店」

出典|小学館

大辞林 第三版の解説
ざっか【雑貨】
種々のこまごました日用品。 「 -商」 「 -店」 「 -を扱う」
出典|三省堂

引用:https://kotobank.jp/word/%E9%9B%91%E8%B2%A8-69138

この場合の雑貨とは何かというと、「 化粧品 」でも「 薬用化粧品 」でもないものということになります。「 化粧品 」も「 薬用化粧品 」も届け出が必要なので、何も届けていなければ 「 雑貨 」扱いということになるわけです。

雑貨 扱いにすればカンタンに売れるの?

雑貨 として 手作り石けん を売る場合は包装・容器の表示に気をつける

「台所用石けん」や「洗濯石けん」の 雑貨 扱いで 手作り石けん を販売する場合でも気をつけることがあります。

それが、(1)界面活性剤の割合を容器や包装に表示することと、(2)使用できる名称が限定されるということです。これは『家庭用品品質表示法』という法律で決まっています。

詳しくご覧になりたい方はこちらをご覧ください。該当部分だけを抜粋したモノが以下のものです。

1.品名
● 洗濯用に供されるものであって、純石けん分以外の界面活性剤を含有しないものは「洗濯用石けん」、含有するものは「洗濯用複合石けん」の用語を、台所用に供されるものであって、純石けん以外の界面活性剤を含有しないものは「台所用石けん」、含有するものは「台所用複合石けん」の用語を用いてそれぞれ表示する。

○ ここに定められた「洗濯用石けん」「洗濯用複合石けん」「台所用石けん」「台所用複合石けん」以外の品名を使うことはできない。「洗濯用」及び「台所用」の両方に使用できるものについては、どちらか一方の用語を用いるか「洗濯用、台所用石けん」と表示する。

2.成分

界面活性剤については、純石けん分以外の界面活性剤を含有しないものは、「純石けん分」の用語を用いて表示し、括弧書きでその含有率と脂肪酸塩の種類の名称を付記する。また、純石けん分以外の界面活性剤を含有するものは、「界面活性剤」の用語を用いて表示し、括弧書きで純石けん分を含めた界面活性剤の含有率を付記する。さらにこの後に純石けん分の含有率、種類の名称及び純石けん分以外の界面活性剤の含有率と種類の名称を「純石けん分」「純石けん分以外の界面活性剤」の用語を用いて付記する。

 

要は 雑貨 で売る場合は、表示に気をつけましょうという話ですね。

雑貨 として 手作り石けん を売る場合は『名称』にも気をつける必要がある

上で引用したとおりなのですが、 手作り石けん を 雑貨 扱いで売ろうとした場合、「洗濯用石けん」「洗濯用複合石けん」「台所用石けん」「台所用複合石けん」の4つの名称以外は使えません

よく「この 石けん は 化粧品 ではなく 雑貨 です」とは書いてあるものの、石けんの名称が『素肌つるつる石けん(仮称)』などと書いている方がいらっしゃいます。

それは完全に 薬機法 ( 薬事法 )違反なので気をつけてください。

たとえ「 化粧品 の 石けん 」であったとしても、名称は 薬機法 ( 薬事法 )の制限を受けます。そのため、『アンチエイジング石けん』なんていう名称は化粧品でも使うことができません。ましてや 雑貨 はなおさらです。

雑貨 として販売する場合、どういう説明(表示)ならできる?

おそらく一番気になるのがこの部分ではないでしょうか。 雑貨 として 手作り石けん を売る場合、どのような広告(説明)ができるのか。

雑貨 の石けんは何度も出てきているように「台所用」または「洗濯用」になります。そのため、「肌」や「顔」「カラダ」といった人体に使用する表現や「化粧品」といった表現は一切できません

仮に『この 石けん は 雑貨 です』と注意書きを入れていても、本文中の文章や画像が人体に使用することをイメージさせる表現の場合は 薬機法 ( 薬事法 )違反になります。

なので、普通の台所用洗剤や洗濯石けんのように、「洗浄力がすごい!」とか、「○○の成分が入っているので洗浄力が違う!」とか、これぐらいのことが精一杯でしょう。

もし化粧品として売りたいなら「化粧品製造販売業許可」を取る必要がある

もし、あなたが「自分で創った石けんをぜひ肌に使って欲しい」と思っているのであれば、化粧品製造販売業許可の許可を取る必要があります。

兵庫県がまとまったマニュアルを作っているので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。主な項目を以下に引用しました。

【許可要件】
1 申請に係る化粧品の品質管理の方法が、化粧品の品質管理の基準(GQP)に適合していること。
2 申請に係る化粧品の製造販売後安全管理(品質、有効性及び安全性に関する事項その他適正
な使用のために必要な情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置をいう。以下同じ。)
の方法が、化粧品の製造販売後安全管理の基準(GVP)に適合していること。
3 申請者(法人の場合は役員を含む)の人的要件が適合していること。
4 資格を満足する総括製造販売責任者等を設置していること。

(1)総括製造販売責任者(薬事法第薬事法施行規則第 85 条第2項)
① 薬剤師
② 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者※1
③ 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者※2
④ 厚生労働大臣が前3号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者※3

(2)品質保証責任者(GQP 省令第 17 条から)
化粧品の製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす品質管理業務に係る責任者(品質保証責任者)を置かなればならない。
① 品質管理業業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
② 化粧品の販売に係る部門に属する者でないことその他品質確保業務の適正かつ円滑な
遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

(3)安全管理責任者(GVP 省令第 15 条で準用する第 13 条第2項から)
化粧品製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす安全確保業務の責任者(安全管理責任者)を置かなればならない。
① 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
② 化粧品の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

申請手数料:化粧品製造販売業許可申請  59,000 円

引用元:https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf18/documents/6.pdf

とまぁ、ご覧いただければわかるように、かなりハードルが高いです。

(1)~(3)は兼任できるので1人でも大丈夫ですが、(1)の要件を満たすのが大変なので、もし自分が該当していなければ誰かを雇うしかありません。

結局のところ、 手作り石けん を 雑貨 として販売するのはどうなのか?

個人的な意見から申し上げると、 手作り石けん を販売されるのはやめたほうが良い、というのが私の意見です。

雑貨 扱いでは表現できることがかなり限られます。さらに、仮に人体に被害が出た場合には製造物責任法により賠償を請求される可能性があります。

また、これらの手作り石けんをインターネットで購入した人が使用して、皮膚がかぶれたり湿疹が出たような場合、製造者(販売者)が、製造物責任法によって責任を負うことになる可能性もあります。手作り石けんの原料に使用する苛性(かせい)ソーダは劇物に指定されており、取り扱いについて十分な注意が必要な薬品です。
引用:独立行政法人 国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2014_37.html

実際、ちょこっと検索してみるとトラブル例も多いようで、

・使った人にアレルギーがでたため保健所に通報された
・他の人から 薬機法違反 を指摘されて販売をやめた、雑貨店やイベントでの取り扱いを拒否された
・もともと肌に良いことを目的に創ったので 雑貨 として売ることに抵抗があり、もう売るのをやめた

などといった事例もあります。

手作り石けん については無理に販売するのではなく、個人の趣味の範囲にとどめておくのが賢明、というのが私の判断です。

そのリスクを考慮した上で 雑貨 として販売するということであれば、何度も繰り返すように「化粧品」「肌」「顔」と言った表現は使うことができない点には注意です。

ビジネスとして 石けん を売りたいのであれば、OEMを活用する

もし、ビジネスとして 石けん を販売したいということであれば、OEMという仕組みを活用すれば望む結果を得ることができます。

OEMを活用することで、 手作り石けん と同じように成分や創り方にこだわりを持った『世界でたった1つのあなただけの石けん』を創ることができます。さらに、販売にあたっての許可は不要!

「OEMってなんだろう?」と興味を持った方は、ぜひ以下の記事も読んでみてください。