【広告制作担当者向け】医療広告ガイドライン最新版まとめ|実務で迷わないための3つの具体策

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クリニックや病院などの広告やホームページ制作担当者の中には、「医療広告ガイドラインの基本的なルールは分かるけれど、実務になると迷う」と感じている方も多いのではないでしょうか。

その原因は、定期的なガイドラインの改訂に加え、ルールを「覚える」だけでなく「読み解く力」が求められる構造あります。

そこで本記事では、医療広告ガイドライン最新版(2025年8月時点)の新規作成事例や過去の改訂ポイント、広告制作の実務で迷わないための具体策について解説します。

目次

2025年改訂版|最新の医療広告ガイドライン情報

 

令和7年3月11日の厚生労働省医政局総務課の事務連絡によると、医療広告ガイドラインの最新版は以下のとおりです。

「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(最終改正:令和6年9月13 日)

「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(最終改正:令和7年3月 11 日)

 

広告制作の実務で使う際は、以下の事例解説書も役立ち立ちます。

「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」(令和7年3月)

医療広告規制への抵触が認められた事例や、とくに注意が必要と考えられている事例がピックアップされています。

 

今回第5版の事例解説書で追加された主な事例は、次のとおりです。

科学的根拠が乏しい情報による誘導:再生医療関連

 

本題に入る前に、厚生労働省の再生医療・遺伝子治療についての考え方を確認しておきます。

[memo title=”MEMO”]再生医療は、これまで有効な治療がなかった疾患に対して新しい治療の可能性を提供するものであり、国民の期待が高まっています。一方で、再生医療は新しい医療技術であるため、安全性を確保しつつ、迅速に提供する体制が求められます。

引用:厚生労働省「再生医療・遺伝子治療等について」[/memo]

 

つまり、医療の新たな可能性として、国内での期待が大きい分野のひとつが再生医療です。

 

一方で、その伝え方が近年問題視されている分野でもあります。

実際に最新の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」でも、次のような違反事例が掲載されました。

再生医療事例

医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)の事例をもとに作成

医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)の事例をもとに作成

2つの事例では「自由診療で行われる再生医療で、有効性を強調すること」が共通して指摘されました。

今回の違反事例(画像赤字)を具体的に見ると、

ゆっくりと自然に、半永続的な美肌効果が得られます。
身体への負担が少ないと注目されている治療法です。
エクソソーム療法は、がん細胞の増殖や成長、転移を抑制する働きがあることが確認…
○○エクソソーム安全性審査委員会の審査で、グレードA評価を受けた安全安心…

の部分が「有効性を強調し過ぎており誇大広告に該当」と指摘されています。

SNS・YouTube動画等の規制が明示化

SNSやYouTube動画を、認知を拡げるために活用するクリニックや病院は増えています。

そうした背景から「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」からは、SNSやYouTube動画に関する規制が示されました。

 

「YouTube動画は広告に該当しないのでは?」

 

という声も耳にしますが、医療広告ガイドラインでは「認知性」「特定性」があれば医療広告とみなされると記載されています。

そのため、この2つの条件を満たしていればYouTube動画も医療広告です。

 

第5版の改訂では、SNSやYouTube動画の具体的な違反事例に加え、望ましい考え方が示されました。

SNSやYouTube動画を制作されている方々はとくに、注目のポイントです。

医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)の事例をもとに作成

医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)の事例をもとに作成

なお、SNSやYouTube動画であっても、医療広告ガイドラインで禁止されている以下の事項は広告できません。

■虚偽・誇大広告
■比較優良広告
■体験談 など

その上で、SNSやYouTube動画では、

▶「治療などの内容及び費用」+「治療等の主なリスク・副作用」を記載
各投稿内に記載する、もしくは組み合わせて一体的かつ一覧性をもって表示する

ことが、具体的に示されました。

時代に合わせて医療広告のルールは変わっている

再生医療やSNS・動画の事例が追加されたように、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」は、これまでに5回の改訂が行われてきました。

近年では、令和5年に「体験談」に関する表現の規制強化

令和6年には「オンライン診療」「SNS・動画活用」といった、現代の情報発信に対応する内容が新たに追加されています。

 

中でも象徴的なのが、令和6年3月のGLP-1の事例です。この背景には、以下のような社会的な問題がありました。

  • 令和5年7月~11月にかけて、GLP-1受容体作動薬の在庫不足により、糖尿病治療に支障が出る状況が全国的に発生
  • 厚生労働省から医療機関に対して「協力依頼通知」が発出される

このときの「協力依頼通知」がこちらです。

GLP-1 受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(令和5年7月28日)
GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(その2)(令和5年11月9日)

こうした医療現場での混乱やトラブルが広がった結果として、ガイドラインが改訂されています。

 

このように、医療広告ガイドラインは一見すると“先にルールが決まる”ように見えますが、実際には社会の問題やトラブルを受けて“後から追加・更新される”ルールです。

 

1.社会で問題が起きる

2.トラブルが広がる

3.行政での動きがある

4.医療広告ガイドラインが改訂される

 

したがって、実務でガイドラインを使いこなすためには、「ルール」だけでなく、その背景にある温度感や社会動向をあわせて知ることが重要です。

広告制作の現場で迷わないために|実践すべき3つの具体策

医療広告のルールを実務に活かすには、次の3つの視点が欠かせません。

①ルールの捉え方
②関係法令の理解
③表現力の工夫

これを踏まえ、現場で実践しやすい具体策を以下で整理しました。

1.事例を「覚える」だけでなく「読み解く」

事例を「覚える」だけでなく、「なぜNGなのか?」を説明できるようになることが、実務で迷わない第一歩です。

たとえば、「科学的な根拠が乏しい情報」の事例を見てみましょう。

  • 【違反事例】
    「○○療法(自由診療)は、がん細胞の成長や転移を抑える効果があります。」

このような表現を、次の3つの視点で読み解いていきます。

 

1.なぜ違反なのか?

 → 有効性を断定的に伝える誇大広告と判断されるため(事例解説書にも記載あり)

2.どこが問題か?

 → 「がん細胞の成長や転移を抑える効果があります」の断定表現

3.どう表現すればよいか?

 → ○○療法に関しては、一部の研究でがん細胞の成長抑制効果が示唆されたとの報告があります。※第三者の論文等がある場合

 

上記は一例に過ぎませんが、「なぜ違反なのか」「どこが問題か」「どう表現するのか」の3点を軸に読み解く力を養うことで、現場での判断精度が確実に高まります。

2.医療広告ガイドラインと関連する法令を知っておく

クリニックや病院の広告に関わる際、留意すべき法令は医療広告ガイドラインに限りません。

実務上は以下のように、複数の法規制が並行して関与する構造になっています。

医療法(医療広告ガイドライン):広告可能事項・限定解除・体験談などの表現制限
薬機法:効能効果の表現、未承認医薬品・医療機器の表示規制
再生医療等安全性確保法:特定再生医療の広告制限、表示義務
景品表示法:優良誤認・有利誤認など、誇大表現の抑制

このように、“複数の法律が同時に関わっている”という前提が、医療広告の実務を複雑にしています。

広告制作者が法的判断を担うことはできませんが、関係法令の全体像を把握しておくことで、関係者との確認や進行が格段にスムーズになります。

3.「法律を守る=何も言えない」ではない

医療広告の実務においては、ルール遵守の意識が強くなるあまり、「結局何も言えない」と感じてしまうケースが少なくありません。

「医療広告ガイドラインを守ると、訴求力がなくなる」
「法務チェックで止まることが多い」
「NGは分かるが、OKな表現が見えない」

といった声を制作現場からよくいただきます。

 

しかし、こうした行き詰まりの原因が、「ルールを読み解けていない」というケースも少なくありません。

実際には、医療広告ガイドラインと薬機法を混同していたり、本来必要な限定解除の要件が抜けていたりするケースもあるのです。

 

重要なのは、“言えるかどうか”だけで悩むのではなく、“どう伝えるか”を設計する視点を持つことです。

ルールを読み解き、的確に整理した上で表現すれば、訴求力を保った広告を作ることは十分に可能です。

医療広告も“リスク管理”が求められる時代へ

医療広告を実務で扱う上では、ルールを「覚える」だけでなく、「読み解き」「設計する」視点が不可欠です。

AIの進化によって、医療広告ガイドラインを調べる・読むこと自体は格段に容易になりました。

一方で、複数のルールをどう結びつけて実務に落とし込むか、その判断は依然として人の役割であり、制作現場の知見が問われる部分です。

ぜひ、次の時代に先駆けて動きたい方は、今本当に必要な知見を磨いていくことをおすすめします。

参考リンク

1.厚生労働省. 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン). 2024年9月13日改正, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001304536.pdf. アクセス 2025年8月7日.

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