ChatGPTの登場によって、「これから楽に記事が書ける!」と多くのブロガーやライターが喜んだことでしょう。しかし、ChatGPTによって生成された文章の「SEO」や「コピペ率」についてはどうでしょうか。これまで細心の注意を払って執筆してきた人たちの共通の懸念が浮かび上がることは間違いありません。本記事では、ChatGPTのSEOへの理解度やコピペ率についての検証結果を紹介します。
実験結果①:ChatGPTのSEO対策は手を加えなければ不十分
結論から言うと、素のChatGPTではSEOの理解度は不十分です。
ChatGPTを少し学んだ人なら分かると思いますが、ChatGPTは2021年9月までの知識しか持っていないため、最新のSEOについては理解していません。
現時点(2023年4月)での最新情報は、2023年3月15日に実施されたGoogleコアアップデートです。しかし、このアップデート内容はChatGPTには情報として取り込まれていません。最新のSEO対策が不十分なため、人間による手直しが必要となります。
念のため、ChatGPT自身にもSEOに関する知識がどの程度あるか質問してみました。
※GPT-4で検証
プロンプト:GoogleのSEOについて理解していますか?
出力:

SEOについては認識しており、理解しているような答えが返ってきました。 さらに質問をします。
プロンプト:SEO対策をしてGoogle検索結果で順位が向上するようにブログなどのWeb記事を書くことは可能ですか
出力:

明確に検索上位を狙った記事制作が出来ると言っていますね。
少し踏み込んだ質問をしてみました。
プロンプト:E-E-A-Tと呼ばれるGoogleの検索品質評価ガイドラインで定義されているウェブサイトの評価基準があります。この点に対し、ChatGPTではどのような対策を行うのですか
出力:

やはり、最新の「E-E-A-T」ではなく、以前までの「E-A-T」という情報を出力しました。
<経験・体験(Experience)>に関する記述が含まれていません。
今後、プラグインが最新情報を取得できるようになるまで、人間が手でチェックし、加筆修正を行うことが必要であることがわかりました。
実験結果②:ChatGPTによるコピペ率はプロンプト次第で改善できそうである
『○○についてブログ記事を書いて』といった簡単なプロンプトを投げると、一致率が50%に近い記事が生成されることがありました。
しかし、類似度については、簡単なプロンプトであってもほぼ10%未満に収まります。
さらに、『SEO対策を実施して』や『コピペ率を下げてください』といった指示を加えることで、類似度と一致率が低下する傾向が見られます。
検証した記事数は多くはないため、今後も引き続き検証していきたいと思います。
ここで、今回の検証内容の一部をご紹介します。
コピペ率を測定する方法
コピペチェックツール(CopyContentDetector®)を使用して、ChatGPTで作成されたブログ記事のコピペ率を検証しました。
ChatGPT 3.5で作成されたブログ記事の実験プロセス
以下の3つのプロンプトで生成された文章のコピペ率を測定します。
それぞれ約2000字の記事として出力されます。
- ○○についてのブログ記事を作成してください(GPT-3.5)
- ○○についてSEO対策を考慮したブログ記事を作成してください(GPT-3.5)
- ○○についてSEO対策を考慮し、コピペ率(一致率)が10%未満になるようなブログ記事を作成してください(GPT-4)
プロンプト①:○○についてのブログ記事を作成してください(GPT-3.5)
コピペ率:左(類似度)右(一致率)

プロンプト②:○○についてSEO対策を考慮したブログ記事を作成してください(GPT-3.5)
コピペ率:左(類似度)右(一致率)

プロンプト③:○○についてSEO対策を考慮し、コピペ率(一致率)が10%未満になるようなブログ記事を作成してください(GPT-4)
コピペ率:左(類似度)右(一致率)

GPT-4を利用しても、期待通りの結果が得られず、コピペ率に関してはGPT-3.5と大きな違いはない結果になりました。
SEO対策への影響:コピペ率が検索順位に与える効果
今回の検証結果に基づくと、ChatGPTで生成された記事であっても、コピペ率のチェックは必須であることが明らかになりました。
念のため、ChatGPTにプロンプトによってコピペ率が改善できるかどうかを尋ねてみました。
プロンプト:「コピペ率を低く保ち、オリジナルの文章を書くように」と指示した場合とそうでない場合では、コピペ率や文章の独自性は大きく変わりますか?
出力:

コピペ率に関する指示を与えると、コピペ率を低く保つための努力が見られます。
そして、人間による文章チェック、編集・修正を推奨しているようです。
AI記事作成の注意点:適切な活用方法とリスク管理
2023年2月にGoogle Search Central が発表したAI生成コンテンツに関するガイドラインでは、
「AIや自動化は、適切に使用されている限り、Googleのガイドラインに違反しません。ただし、検索ランキングの操作を主な目的としてコンテンツ生成に使用する場合、スパムに関するポリシー違反と見なされます」
と明確に記載されています。
そのため、ChatGPTによって生成された記事でも、コンテンツの品質が保証されていればペナルティを受けることはないでしょう。
ただし、今後ガイドラインが変更される可能性もあるため、注意が必要です。
まとめ:ChatGPTを利用したブログ記事作成の現実と展望
ChatGPTを用いたSEOライティングでは、最終的に人間がチェックして手直しを行う必要があることが明らかになりました。
コピペ率はプロンプトの工夫によって減らすことができますが、記事ごとに数値のばらつきが大きいため、確実にチェックが必要です。
最近では、AIによるライティング支援ツールを提供するサービスが登場しています。
今後、ライターの仕事はAIへの指示出しとチェックを中心に変わっていく可能性があるため、今のうちから準備を徹底しておきましょう。